第5章 地域(territoire)支援活動
5-1 国内支援活動
AFRATの地域(territoire)支援は、単なる研修提供にとどまらない。地域の観光開発戦略の立案から、ブランド認証の取得支援、地域内ネットワーク構築まで、農村・山岳地域の総合的な発展パートナーとして機能している。
国立・地域自然公園との連携
AFRATはフランス南東部の5つの国立公園(エクラン、ヴァノワーズ、メルカントゥール、カランク、ポール=クロス)と連携し、「エスプリ・パルク・ナシオナル(Esprit Parc National)」ブランドの認定事業者向け研修を年間100日以上実施している。観光従事者350名以上が毎年受講し、持続可能な観光の質的向上に貢献している。
アクセイユ・ヴェロ(サイクルツーリズム)
イゼール県のサイクルツーリズム振興を目的として、宿泊業者・飲食業者・観光案内所など約120件の事業者をフランス国家認証「アクセイユ・ヴェロ」取得に向けて支援した。この取り組みにより、ヴィア・ローナ等の自転車ルートに沿ったサービス品質が大幅に向上した。
AVEC Vercors(地域内コンピテンシー流通)
EUのLEADERプログラムの枠組みのもと、ヴェルコール内の専門スキルを持つ住民と、そのスキルを必要とする事業者をつなぐ「ヴェルコール専門能力・コンピテンシー総覧(www.avecvercors.com)」を構築した。「スキルの地産地消(circuit court de compétences)」という独創的な概念のもとで、地域内の知的資本の循環を促進している。
アルプ山岳研修機関ネットワーク(Réseau Alpin)
オーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地域圏と生態的一体性省の支援を受けて、山岳地域で活動する職業訓練機関同士の対話と協力を促進するネットワークの形成を推進している。気候・社会経済・社会的移行課題に対応した教育実践と革新の共有が目的である。
5-2 国際支援活動
AFRATは創設から培ったノウハウを国際的に展開する稀有な地方NGOである。フランス農村・山岳地域での実践的経験を持つことが、発展途上国・移行期国家における農村観光開発支援での強みとなっている。
アルメニア:「アラヘット・アルメニア(Arahet Armenia)」プロジェクト
2004年からアルメニアでの観光開発支援を開始。2009年に仏・亜地方公共団体協力プラットフォームIRAPAの設立に参画し、現在は「アルメニアの道(Sentiers d’Arménie)」プロジェクトを通じたエコツーリズム・トレッキングルート整備に取り組む。AFD(フランス開発庁)、MEAE/FONJEP、6つのフランス地方公共団体の支援のもと、2024年からはエレヴァン拠点の仏亜職業教育センター(CEPFA)と連携してガイド養成プログラムの制度化を進めている。
パレスチナ:「グランド・トラヴェルセ(大縦断ルート)」支援
2013年以来、Tetraktys協会と連携してパレスチナ・ヘリテージ・トレイル(ヨルダン川西岸を南北に縦断する330kmのルート)の整備支援を継続している。AFDおよびフランス・パレスチナ両国の地方公共団体の支援を受けており、文化遺産の価値化と地域コミュニティへの経済効果をセットで追求している。
地中海圏:メッド・トレイルズ・ネットワーク(Med Trails Network)
2023年にAFRATが創設メンバーとなった地中海大ハイキングルート・ネットワーク。農村コミュニティのための持続可能な観光、文化・自然遺産の保全、気候変動適応を柱に、チュニジア・トルコ・ギリシャ・レバノン等の地中海諸国との協力体制を構築している。AFD、プロヴァンス=アルプ=コート・ダジュール地域圏、世界銀行、OXFAMの支援を受けている。
仏伊越境:TEAMMおよびTIMTプロジェクト
イタリアの「Fondazione Montagna Sicura」と連携し、EU Erasmus+資金によるTEAMM(山岳職業の生態的移行と適応)・TIMT(山岳移行のための研修革新)・Innov Mountain Skills(山岳職業のデジタル化対応)プロジェクトを実施。フランス・アルプスとイタリア・ヴァッレ・ダオスタ地域の研修機関が共同でカリキュラムを開発し、気候変動下での山岳職業の将来像を描いている。
